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研究について

オホーツク海による北太平洋物質循環の制御機構 ―縁辺海を介した陸から大洋へのつながり

 北部太平洋では、海洋生態系の底辺を支える植物プランクトンの増殖量が微量栄養物質である鉄分の供給量で制御されています。我々の研究では、環オホーツ ク海域において包括的な観測を実施し、北部太平洋における鉄供給システムの全体像を定量的に捉えることに成功しました。オホーツク海の大陸棚に堆積してい た鉄分は、海氷の生成によって駆動される中層の海洋循環によって北部太平洋まで運ばれており、植物プランクトン増殖量を定量的に説明する濃度となって広範 囲に広がっていることを突き止めました。この発見は、これまで海洋において理解が不足していた「縁辺海を介した陸と海の繋がり」を解明する上で重要な知見 となります。

オホーツク数値シミュレーション

 オホーツク海の北西陸棚域では、海氷生成に伴う濃縮された塩水により重い高密度水ができます。それが中層(300-500m)へと潜り込んで、鉄分など 栄養物質を長距離にわたって輸送します。この陸棚にはアムール川から大量の淡水と太平洋からの高塩の海水も流れ込んでおり、複雑な海峡を呈します。このよ うなオホーツク会を高解像度海洋海氷シミュレーションを用いて研究しています。

宗谷暖流のダイナミクス

 宗谷海峡に3局、紋別・雄武2局の短波海洋レーダーを設置して表層の流速場を観測し、宗谷暖流の季節変動・経年変動とそのメカニズムを調べています。短 波海洋レーダーは、陸上のレーダー局から発した電波が海面で反射されて返ってくる信号から、海面直下の流れを測るものです。2003年8月から運用を始 め、10年以上の期間の連続観測を実施しています。宗谷暖流には、夏に強く(約1m/s)、冬に弱い、明瞭な季節変動が存在することが明らかになっていま す。

オホーツク海の海洋物理過程

 オホーツク海では、海氷生成に伴い形成された高密度海水の沈み込みおよび潮汐による海氷の激しい鉛直混合が生じています。その影響はオホーツク海から北 太平洋の中層に広がり、海洋循環・物理循環・生態系形成の鍵を握っています。環オホーツク域の経年変動や近年の温暖化も、これらの過程を通して、海洋環境 を変えつつあります。本センターではこうした環オホーツク圏の気候形成・変動の理解向上を目指し、数値シミュレーションや観測を行っています。

山岳アイスコアを用いた北部北太平洋地域の気候・大気環境復元

 アラスカやカムチャツカなど北部北太平洋地域を取り囲む山岳氷河においてアイスコアを掘削し、過去数百年程度にわたる古気候・環境の復元を行い、その変 化のメカニズムの解明を試みています。カムチャツカのアイスコアからはオホーツク地域では1950-70年は夏の日射が強く、日射量の変化は夏の北極振動 と関係があることが示されました。アラスカのアイスコアから、1970年以降アラスカ湾の低気圧活動が活発化し、降水量が増加していることが示されまし た。

アムール・オホーツクコンソーシアム

 環オホーツク地域の自然環境に関する学術情報を関係各国の研究者と共有し、共同研究および共同環境モニタリングを推進するための多国間学術ネットワーク が「アムール・オホーツクコンソーシアム」です。日本全国の研究者、ならびに中国、ロシア、モンゴルの研究者が参加して活動を行っています。環オホーツク 観測研究センター国際連携研究推進室はその事務局をになっています。
 アムール・オホーツクコンソーシアム ウェブサイト


それ以外の研究テーマ

  • 網走川流域、風蓮川流域における物質循環と流域保全
  • 雲システムのモニタリング
  • 気候と森林動態シミュレーション